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< アリス・イン・ワンダーランド >

人生初3D体験!……という予定だったのだが、ネット上の評判がイマイチだったので
気弱になり、普通に2Dで見ました。

本来わたしはティム・バートンをそれほど好まない。
そもそも最初に見た、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」がどうにも駄目だった。
これが駄目だったらバートン作品は受けつけないだろう。
……それでもデップに惹かれて見に行くわけだが。

テレビで見た「シザーハンズ」「スリーピー・ホロウ」(←たしか見たと思う……)はかろうじて、
「チャーリーとチョコレート工場」「スウィーニー・トッド」はまあまあ好きと言えるレベル。
あ、そうか。つまり問題は「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」なんだ。
あれは、ごくごく普通のファンタジー・アニメだと思って見に行って、
その毒に当たったので拒否反応が強かったのかもしれない。
その後は「ティム・バートンだぞ!」と構えて見に行くので大丈夫なのかも。免疫がついたか。

「アリス」は面白かったですよー。
ティム・バートン作品の中では一番素直に楽しかった。
必要以上にダークじゃないというか。奇妙で奇矯ではあるけれど、病的じゃないというか。
まあ正直、話はぐだぐだですけどね。どっちつかずで中途半端。
もう少しナンセンス側に振るなら振る、そうでなかったらもう少しマトモに整理する、
という作業をした方が良かったのではないかと。

現在のストーリーだと、白の女王が微妙に胡散臭いんだよなあ……。
白の女王がクリアに名君ならその方が良かった気がする。だって今の話だと、
殺生しないと誓ったといって大変な役目を嫌がるアリスに押し付けるズルイ人だし。
美しいがゆえに両親に愛され、王冠を与えられるというのもどうか。
両親に愛されなかったコンプレックスが赤の女王の凶暴性に結びついているなら、
その妹である白の女王はその時ナニをしているのだ!?と。
むしろ赤の女王に同情してしまうよ。
白の女王もやっぱり赤の女王の妹なんだなあ……という風に書きたかったのなら、
もう少し白の女王をシュールに、狂気を感じさせる極端さがないとさ。

で、“そしてアリスは自分の人生を見つめ、新しい一歩を踏み出したのです”なんて
キレイな結末にまとめているから、胡散臭さ倍増。
いやー、そういう話にしちゃいけないでしょう。いやしくもティム・バートンなら。
あの展開で、なんで貿易については全くのトーシローであるアリスの意見にあのおっさんが
賛同しなければならないのか、なんで船にアリスが乗り込まなきゃならないのか、
さっぱりわかりませんよ。

と、ストーリーははっきり言ってダメダメです。
なのでそこは思いっきり目を背け、単に映像を楽しむ。これが正解。

最初と最後はイギリスのコスチューム物なので、わたしとしてはちょっと嬉しい。
アリスが穴に落ちるシーンは、凡庸と言えば凡庸な描写だけど楽しかった。
落ちて最初の部屋の雰囲気も好きだ。魔法っぽい雰囲気が漂っている。
チェシャ猫の造型がかなり気に入っている。エメラルド色の目がラブリー。
大きくなったり小さくなったりするアリスの衣裳が好き。
最小サイズになった時、マッドハッターが一瞬でドレスを作るのには笑った。
えーとえーと、あとは……あ、忘れちゃいけない、最後のマッドハッターのダンス!
(……そして後半、微妙に「指輪」テイストが感じられるのが吉なのか凶なのか……)

この映画でのテガラは、やはりヘレナ・ボナム=カーターですなあ。
CG加工の巨大頭で出て来た時にはどうなることかと思ったが。
この人を見ると、「また変なメイクなんでしょ?」が思い浮かんでしまう。
どこかで読んだエピソードなんだけど、ティム・バートンと組むようになってから、
いつもすごいメイクをさせられるので、……本人ではなくヘレナの親兄弟が残念がっているらしい。
まーそーだよなー。「ハワーズ・エンド」とか「鳩の翼」とかの正統派コスプレ女優が、
この巨大頭では。特にご両親は銀行頭取と精神科医というオカタイ系らしいし。
ちなみに本人は喜んでやっているそうだ。

アン・ハサウェイの巨大唇が活きてましたなあ。
こうやってみるとほんとに美女ですね。彼女自身もわりとノッてやっていたので、
だからこそ脚本が残念。もう少し面白いキャラクターに出来たはずなのに。

クリスピン・グローヴァーなる人は初。
映画の中ではかっこいいのに、パンフレットの写真で見ると、単に人が良さそうなおっさん……
この役は巨大生物UMAフェチなのか?

御大クリストファー・リーがまた出てた……。
いや、声だけだけど。びっくりですねー。彼は今年88歳ですよ。まさにイギリスの森繁。
動いてないと死んじゃう病なんですな。

でもって、デップはねえ。
はっきり言うと、この役は彼がやる必然性が……。いや、演技的には必然性があるとしても、
外見的には全くないね。これほど白塗り&クレイジーメイクが激しくなっちゃうと。
見ながら「実は別人が演じていても気づかないんじゃないか」と思っていた。
ここまでのメイクはやりすぎだと思うなあ。見ててコワイぞ。
切なさと狂気は例によって巧く出ているけど。CG加工で目をでかくしたというのもイマイチ。

あっ!すっかり忘れていたが、主役のミア・ワコウシカは可もなく不可もなく。
雰囲気はそれなりに出しているので、普通の映画の方が向くかもねえ。

まあね。期待しすぎないで吉な作品かな。
ティム・バートン好きは全然物足りないだろうし、アリス好きも不満だろう。
喜ぶのはファンタジー好き・イギリス好きのわたしのような立ち位置の人間か。

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